IH電磁波レポート

便利なIHクッキングヒーターですが、やっぱり電磁波が気になることも確かだよね。電磁波なんか全然気にしない方も、電磁波にビクビクしながら料理をしている方も、IHクッキングヒーターの電磁波についてお勉強しましょう。


目次
1.IHクッキングヒーター(IH調理器)の電磁波とは
2.IHクッキングヒーター(IH調理器)のしくみ
3.IHクッキングヒーター(IH調理器)の電磁波を測定しました
4.IH用の電磁波エプロンを購入してテストしてみました
5.IHクッキングヒーターのメーカーと電力会社の立場
6.まとめ&私感

1.IHクッキングヒーターの電磁波とは


電磁波と一言で言っても、周波数によりそれぞれ特性があります。
周波数とは1秒間に繰り返される波の数のことで、ヘルツ(Hz)という単位で表されます。
レントゲン撮影のときのエックス線、皮膚ガンの原因と言われる紫外線も電磁波。携帯電話やラジオ、テレビの電波も電磁波。光だって電磁波の一種なのです。


電磁波の種類 IHクッキングママ


さて、それではIHクッキングヒーターから出る電磁波は上の図ではどこの部分に該当すると思いますか?
エックス線?まさかね。中波?うーん、おしい!超低周波?・・・ちょっと正解かな。答えは超長波と超低周波。
超低周波っていうのは送電線や一般家庭電化製品から出る50Hz〜60Hzの周波数。
超長波っていうのは3kHz〜30kHzの周波数で、水中でも伝わるため、海底探査にも応用できるんだって。
だからって、IHクッキングヒーターで海底調査に挑んでもダメだよ・・って冗談はさておき、厳密にはIHクッキングヒーターからの電磁波は20kHz〜50kHzなので、超長波の上のほうから長波にちょっとかかってるって感じで覚えておいてね。ちなみに電子レンジの周波数は2.45GHzなので、IHクッキングヒーターからの電磁波とは全く違う周波数だよ。(調理器具で加熱するから同じ構造だと勘違いしている人が多いようだけど・・・)
表で見たほうが分かりやすいと思うので下の図で確認してね。

電磁波の種類と特徴
名称
周波数
(Hz)
特徴
主な用途
ガンマー(γ)線
放射線のひとつ。高エネルギーで数センチの鉛も貫通する。透過能力が高い。原爆の放射能にも含まれる。生体への影響は大きい。 科学観測機器
エックス(X)線
感光作用、イオン化作用。宇宙からも降り注いでいるが波長が短いためオゾン層に吸収され地表にはほとんど届かない。 医療機器(X線、CTスキャナー)
紫外線
科学作用、生理作用。弱い紫外線でも長時間皮膚をさらすと炎症を起こす。 殺菌灯、日焼けサロン
可視光線
30THz〜300THz
目を刺激して視覚を発生させる。 光学機器
赤外線
3THz〜30THz
原子やイオンを振動。ほとんが熱エネルギーに変換。 工業用(加熱・乾燥)、赤外線ヒーター、赤外線写真

サブミリ波
300GHz〜3THz
  光通信システム
ミリ波



30GHz〜300GHz
空気中水分により減衰を受けやすい。大容量通信に適す。 衛星通信、各種レーザー
センチ波
3GHz〜30GHz
鋭い指向性があり、他からの妨害を受けにくく、他への妨害に少ない 携帯電話、PHS、衛星放送、無線LAN、ブルートゥース、電子レンジ
極超短波
300MHz〜3GHz
アンテナが小さくてすむので、移動体通信に使われる 携帯電話、テレビ、タクシー無線、航空機電話
超短波
30MHz〜300MHz
電波の直進性が目立ってくる。 航空管制通信、テレビ、FM放送
短波
3MHz〜30MHz
電離層で反射するので、小電力で遠方まで届く。 船舶・航空機通信、国際放送、ラジオ
中波
300kHz〜3MHz
地表面を伝わる性質、低い山は乗り越える。 船舶・航空機用ビーコン、AMラジオ
長波
30kHz〜300kHz
地表では安定しており、温度の影響もすくない。 船舶・航空機用ビーコン、無線航行
超長波
3kHz〜30kHz
遠方まで届く、海水への浸透性がよい。 無線航行(オメガ)


超低周波
50Hz 60Hz
波長が長すぎて電磁波としての性質が現われにくい、正確には電磁界という。 高圧送電線、家庭用電気製品



2.IHクッキングヒーターのしくみ


「火の無いところに煙は立たぬ」ならぬ「火の無い台所で料理ができる」。最初にIHクッキングヒーターを見たときはびっくりしたよね。手を載せてもなんとも無いのに鍋を載せると加熱されるって・・・。ここではIHクッキングヒーターのしくみを説明しますね。
IH調理器は、コイルに25kHz付近の高周波電流を流して、それによって発生する磁力線が鍋の底を通過すると、そこにうず電流と呼ばれる電流が発生する現象を利用して鍋を温めます。
金属製の鍋の中でうず電流が流れると、金属の持つ電気抵抗によってジュール熱が発生して、鍋自体が発生するというしくみ。このようにコイルを使った加熱方式を誘導加熱(Induction Heating)と言います。
うず電流が流れてジュール熱を出すには、銅やアルミニウムなどの電気抵抗の小さな金属製の鍋では効率よく加熱されないのでNG! IHクッキングヒーターに最も適した金属は磁石がくっつく鉄の鍋です。ステンレスでも磁石に付くものなら使うことはできますが、熱効率は落ちるようです。

IHクッキングヒーターのしくみ IHクッキングママ


3.IHクッキングヒーターの電磁波を測定しました


我が家のIHクッキングヒーターは、三菱電機のCS-H2201B(2000W)です。メーカーや機種によって電磁波の違いはあるようですが、最初からマンションに設置されているものなので選択の余地はありません。
とにかくやりだすととことん調べてしまう性格からIHクッキングヒーターの周波数に対応した電磁波測定器を購入して、測定しました。
ここで注意が必要なのは使用する電磁波測定器です。数千円で売ってる安価な測定器ではIHクッキングヒーターの電磁波は測定できませんので注意が必要です。ちょっとぐらいは目安になるでしょう?って。いえいえ残念ながら全く目安にもなりません。誤作動して数値が出るだけですので全く意味がありません。
IHクッキングヒーターから出る電磁波の周波数は20kHz〜60kHzです。数千円で販売している電磁波測定器は精度の問題はさておいて、送電線や一般家庭電化製品からの50Hzや60Hzの超低周波の電磁界を測定する仕様になっております。普及型電磁波測定器で有名なトリフィールドメーターという測定器でも磁場・電場モードで測定可能周波数は30Hz〜1KHz(1000Hz)、マイクロ波モードで50MHz〜3GHzとなりますので、IHクッキングヒーターの電磁波を測定することはできません。
そこで色々調べてみたところ、AC MILLIGAUSS METER MODEL UHS(アメリカ製)という電磁波測定器が1KHz〜75KHzの測定モードがありIHクッキングヒーターからの電磁波周波数に該当しています。ちょっと高かったのですが、思い切って購入しました。5万円以上しましたが、多分IH電磁波を測定できる機器では一番安いと思います。(アメリカなら310ドル程度なんですけどね・・・)


測定に使用したIHクッキングヒーターは三菱電機のCS-H2201B(2000W)です。
火力 は1〜8段階まであり、電源を入れた時点では標準の5(750W)に設定されています。最強火力8(2000W)になります。
標準の5(750W)の場合は真上で717mG、火力8(2000W)にすると900mGもありました。
以下の写真は距離0cm〜30cmまでを測定した数値です。左が火力5(750W)、右が火力8(2000W)で測定しました。
     
火力5(750W)で距離0cm:密着した状態です。数値は18.47mG   火力8(2000W)で距離0cm:密着した状態です。数値は27.4mG
IHクッキングヒーター0cm  
     
火力5(750W)で距離5cm:数値は7.58mG   火力8(2000W)で距離5cm:数値は11.7mG
IHクッキングヒーター5cm  
     
火力5(750W)で距離10cm:数値は3.76mG   火力8(2000W)で距離10cm:数値は7.79mG
IHクッキングヒーター10cm  
     
火力5(750W)で距離15cm:数値は2.34mG   火力8(2000W)で距離15cm:数値は4.67mG
IHクッキングヒーター15cm  
     
火力5(750W)で距離20cm:数値は1.48mG
2mG以下になると自分的には許容範囲かなって感じですが、常に20cm離れて調理するのはちょっと無理です
  火力8(2000W)で距離20cm:数値は2.92mG
IHクッキングヒーター20cm  
     
火力5(750W)で距離30cm:数値は0.74mG 30cm離れて1mG以下になりました   火力8(2000W)で距離30cm:数値は1.51mG
IHクッキングヒーター30cm  
     

ヨーロッパでは2ミリガウス以下の電磁波環境をガイドラインとしているそうなので、その基準からすれば標準火力で20cm以上、最強火力では30cm以上離れなければならず、調理できなくなってしまいます。
知らなきゃ平気だったのかも知れませんが、知ってしまった以上、何か対策がないものかと思い、インターネットで調べたところIHクッキングヒーター専用の電磁波対策エプロンを発見しました。防御性能により3種類ありましたが、思い切って一番高いタイプを購入しました。(IHクッキングヒーター用エプロンの詳細





4.IHクッキングヒーター用電磁波エプロンを購入してテストしてみました


携帯電話や電子レンジやパソコン高周波などの10MHz〜数GHzに対応した電磁波対策エプロンは多く販売されていますが、IHクッキングヒーターの20kHz〜50kHzに対応したエプロンは調べた限りこの商品しか無いようです。インターネットから注文して翌日には届きました。
さて、実際に測定して電磁波の減衰が確認できるのでしょうか?

購入したIH電磁波用エプロンはシールド材の性能や大きさの違いにより3種類ありますが、一番高性能なタイプを購入しました。 エプロンと電磁波シールド材とは別になっていて、エプロンの裏のポケットにシールド材を入れる仕様です。
シールド材はEMSパッドと言って、ナノ結晶磁性体層と導電性の高いアルミ層が重ねられた多層構造になっていて、低周波磁界の迂回と反射、吸収を繰り返し低周波磁界を減衰させるそうです。

 
裏のポケットに入れようとしているところです。
腹部用と胸用の2枚のシールドパッドをそれぞれのポケットに入れます。シールドパッドの厚みは1ミリ弱で、軽く曲げることはできますが完全に折ってしまえば痛みそうです。エプロンだけで電磁波カット出来ればいいのですが、 IHのような低周波磁界は、布のような薄いシールド材では対応できないのでしょう。

 
   
←実際着用したらこんな感じです。シールド材のパッドの厚みは1ミリ弱で、お腹に沿ってカーブを描くように曲げて着用します。ひもでお腹のサイズの調整ができるので妊婦の方もOKです。 エプロンとパッドで500g程度の重さなので、重たい感じはありません。

↑脱け殻です。(^_^;)
面と竹刀があれば剣道ができそうです。あまり伸ばしたり曲げたりするとパッドが傷みそうなのでこの状態で置いてます。シールドパッドは洗濯できませんが、エプロンは洗濯できます。
 
さて、実際の効果はどうでしょうか。電磁波は眼に見えないだけにやっかいです。測定器だけが頼りです。
IHクッキングヒーターの電磁波を測定しました」の写真と並べて見てもらえれば分かりやすいと思います。

火力5(750W)で距離0cm:密着した状態で18.47mGあった数値が0.96mGまで落ちました。これは何もなしで30cm離れたぐらいの数値(0.74mG)と同じくらいです。 火力10(2000W)で距離0cm:密着した状態で27.4mGあった数値が1.96mGまで落ちました。何もなしで30cm離れた数値が1.51mGでしたから、こちらも密着していても30cmぐらい距離をとってる効果があります。
 

今度は腹部パッドと胸用パッドの両方をエプロンに入れて、着用したときのイメージで効果を測定してみました。IHクッキングヒーターに一番近くになる体の部分はお腹になりますので、エプロンの高さも実際の高さに合わせました。
火力5(750W)で距離0cm(密着した状態)で測定したところ0.48mGまで落ちました。上の写真のとおりパッドだけの測定数値0.96mGがさらに半分の0.48mGなりました。エプロン自体にはシールド性能は無いので、胸用のパッド(11.25×33cm)がシールド性能をアップさせたのかも知れません。

 

上と同じ方法で、今度は火力8(2000W)で測定してみました。1.04mG。やはりシールドパッドだけのときよりも、数値がさらに半分近くにまで落ちています。 火力最大で密着状態2mG以下ということなので、十分安全基準内と言えるでしょう。




5.IHクッキングヒーターメーカーと電力会社の立場


下のIHクッキングヒーターの出荷台数をご覧ください。順調に伸びていますね。海外の詳細データは見つけることはできませんでしたが、ヨーロッパでは数十万台は売れているようですが、日本ほど普及している国は無いのではないでしょうか。火を使わない安心感や光熱費が安くなるなどのメリットからオール電化にする家庭も多いようで、右肩上がりで伸びてます。

IHクッキングヒーター出荷台数推移(全国)
IHクッキングママ

IHクッキングヒーターの国内メーカーのホームページからIHクッキングヒーターの電磁波についての記述がある部分を探しました。 ユーザーからの問い合わせも多いようでQ&A集の中に記載されていることが多いようです。
ナショナル

Q.電磁波の心配は、ありませんか?

A.電磁波の人体への影響については国内外で各種調査研究が行われていますが、現時点では影響の有無について結論づけることはできません。
日本においても平成5年の通産省(電磁界影響調査検討会)および環境庁(電磁界暴露の健康影響に関する調査研究会)の報告書では、電磁波の人体への影響の有無については科学的にも疫学的にも結論づけることはできないと報告されています。
こうした中、IHクッキングヒーターは現時点において国内外で規定されている基準(電気用品安全法、IEC規格等)に対応しています。

日立

Q.電磁波が人体に与える影響はある?

A.IHクッキングヒーターの電磁波は、安心できる低レベルです。IHクッキングヒーターからの磁界強度は、商用周波数帯(50/60Hz)において5μT(50mG)以下、加熱周波数帯(数10kHz)において2μT(20mG)以下であり、国際的なガイドラインである国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の値【50Hz:100μT(1000mG)、60Hz:83.3μT(833mG)、0.8kHz〜150kHz:6.25μT(62.5mG)】を大幅に下回っています。(このガイドラインは、電磁界によって引き起こされる神経や組織への刺激に対して安全係数を取って設けた基準で、測定条件は距離30cm、最大火力で直径12cmの鍋使用時。)
また、このIHクッキングヒーターから発生する電磁波の強度は、昔からご愛用いただいている一般の電気製品と同レベルです。

東芝

Q.IHクッキングヒーターから発生する電磁波の影響は?

A.電磁波の影響につきまして、弊社と致しましては、関連団体(IEC国内委員会、電気工業会等)などでの活動を通じて、電磁波の最新情報の入手、製品の改善などに取り組んでおります。
電磁波の影響につきましては下記ホームページにて詳しく説明されておりますので、ご参照下さい。
・IHクッキングヒーターの電磁波について
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/kaden/ih/ih-08.htm
・家電製品と電磁波について
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/kaden/q_a/ans.htm


電力会社では東京電力のIHクッキングヒーターに関する Q&Aに電磁波に関する記述がありました。

Q.IHの電磁波は安全なの?

A.健康へ有害な影響を及ぼすことはありません。
安心してお使いいただけます。
電磁波による健康への影響については、国内外の専門機関が検討や評価を行っています。当社では、これらの見解や、IHクッキングヒーターから発生する電磁波が国際機関によるガイドラインを大幅に下回っていることから、人の健康へ有害な影響を及ぼすことはないと考えています。
ただし、心臓用ペースメーカーなどをお使いの方は、念のため専門医に相談いただくことを推奨しています。

6.まとめ&私感


今回、素人ながら色々と調べてみましたことをまとめたいと思います。
IHクッキングヒーターから20〜30cm離れれば急激に電磁波の数値は減少します。しかしながら常に離れた状態で調理することは難しく、そんなことに気を使っていると料理に集中することも出来ません。
もちろん、IHクッキングヒーターのメーカーは安全基準内に抑えているので、健康への影響は無いということで販売していますので、気にならない方は全く気にする必要も無いと思います。
ただ、私のような小心者は気になりはじめるとやっぱり気になるし、賃貸マンション住まいの私の場合は入居時点でIHクッキングヒーターが設置されており、ガスを選択することも出来ないので、今回はIHクッキングヒーター専用エプロンを購入してテストしてみました。
結果的には完全に防御することは不可能でしたが、自分で安心できる数値まで減衰することは確認できましたので、懐に余裕があれば安心を買うと意味でもいいんじゃないかなとは思います。
調理中は子供に近くに来ないように言ったら良いですが、IHクッキングヒーターはどうしてもお腹がコンロに接近してしまうので、妊婦さんや電磁波が気になる方にはこういうエプロンはいいと思いました。(^o^)/

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